エファジャパンでは、カンボジア国境地帯での教育支援事業を強化するため、1月から新たに日本人駐在員を派遣しました。隣国タイと接するプレアビヒア県の国境沿いの地域は森林の多い農村地帯で、住民は主に森からの食料採取に加え、自給自足的な農業か小作農に従事しています。元々山地にはクメール語を話さない少数民族が暮らし、内戦後の移住政策で貧困層が多く移ってきたこともあって、親の世代の識字率は高くありません。また、国境紛争の時期に派遣されてきた多くの兵士とその家族も住んでおり、軍の給与だけでは食べていけないため非常時以外は畑を耕して生活をしています。
カンボジア政府は「一村一小学校」を基本方針としており、プレアビヒア県では9割近い達成率ですが、国境地帯では子どもが自分で通学するには遠い場所であったり、教員が派遣されず休校しているなど、学校に通えない子どもの割合はまだ高いのが現状です。この地域は、ベトナム戦争時に米軍による爆撃の対象となり、その後の内戦では国内で最も長くクメール・ルージュの支配を受け、2008年には世界遺産の寺院遺跡周辺の帰属を巡りタイとの国境紛争の舞台となりました。こうして長らく不安定な情勢にあったことが公教育の整備が遅れている大きな要因のひとつです。
エファジャパンはこれまで、現地パートナー団体であるSCADP(スキャップ)がプレアビヒアで運営している14箇所の寺子屋教室には教材を、教室に通う子ども達には学用品を提供してきました。今後は、正式な教員資格を持っていない寺子屋教室の先生への研修、教室の設置や改築、教育カリキュラムの改善などで、子ども達の学ぶ権利を実現していきます。