エファジャパンでは自治労栃木県本部のご支援により、ハイフォン市児童保護基金を通じて孤児や障害児、病弱児、複雑な家庭環境にある子ども達に奨学金を支給しています。
そこで現在エファジャパンでは、奨学生達やその保護者達に聞き取りを行い、本事業のフォローアップを行っています。
その中で、奨学生の一人Nhuちゃん(仮名;女子、10歳)とその父親に聞き取りを行った時の様子をご紹介します。
Nhuちゃんの家は、ハイフォン市の中心部から1km離れたアパートの一画にあります。家族で住んでいますが、父親は盲目で仕事がなく、母親が竹ぼうきを作って収入を得ています。アパートの部屋も政府が支給してくれた部屋で生活し、生活保護手当として月180,000ドン(日本円で約720円)を受け取っています。しかし、子ども一人の食費だけでも月500,000ドン(約2,000円)はかかるハイフォン市で、この生活保護手当はとても十分とは言えません。Nhuちゃんの家庭は、発展著しいベトナム第三の都市ハイフォン市において、経済発展から取り残されている典型例とも言えます。
それでも、Nhuちゃんはよく笑う元気一杯の女の子です。聞き取りで、将来の夢や、好きな科目、欲しい物などを聞いても、笑って妹とじゃれあいながら、両親に急かせれ時折答えてくれます(プライバシーの関係で、皆さんにその笑顔の写真をお見せできないのが残念です)。好きなことを聞いても妹と遊ぶことと答えます。最後に、奨学金を貰えたことについての感想を聞いてみると、笑顔は返ってきますが返事は中々返ってこないので、インタビュー用紙に直接書いてもらうことにしました。
ペンをとってから、ゆっくりと何かを書いて5分くらい経った後、漸くインタビュー用紙が返ってきました。見てみるとそこには、「Con rat vui(とても嬉しいです)」とだけ書かれてありました。同行していた児童保護基金の職員が「どうする?」っていうような感じでこちらを見てきましたが、「まあいいかぁ」と聞き取りを終えることにしました。
今回の聞き取りの中で、「この子には他の子ども達と同じように教育を受けさせてやりたい」と父親が言っていたのが、忘れられません。この姉妹は、諸事情で小学校への入学が許可されていません。今はニエムギア子どもの家で、識字教室などに参加して勉強しています。
ベトナムの制度面の問題でもあるため、エファジャパンはNhuちゃんを小学校に入れさせてあげることはできません。しかし、Nhuちゃんに他の子ども達と同等の教育機会を提供できるよう、奨学金を支給したり、ニエムギア子どもの家で教育を受けさせてあげることで今後ともできる限りサポートしていきたいと思います。 (活動地ハイフォン市より)